23 真実の扉 【23-6】

【23-6】

「『森中朋子』さんについてです」


そう、『森中朋子』さんの存在を、僕は知った。

ここまで来たら、ごまかして終わる話ではないことくらい、伯父にも伝わるだろう。


『どうしてその名前を……』

「僕宛に、昔、母が伯父さんに書いた手紙が送られてきました」

『手紙?』

「はい。出し人の名前は書いてありませんでしたが、おそらく拓だと思います」



『お兄さんと朋子さんに託された……』



拓は、あの言葉を知り、一人で悩み続けてきた。

あいつのためにも、全てを明らかにしたい。


「拓は、僕が伯父さんの子供なのではないかと、疑っています。
母の文面に、『お兄さんと朋子さんに託された』という言葉が、書いてあったからです」


伯父は否定も肯定もしない。

ただ、黙って聞いている。


「朋子という名前に、僕は一人だけ心あたりがありました。
昨日、『スレイド』に行き、アルバムを見たのです」


僕が生まれた年に撮られた『TEA』さんの写真。

あの前に、どんなことがあったのか、それを知りたい。


「アルバムには、『木下朋子』と書いてありました。
僕はそれが『TEA』さんの名前だと思っていましたが、
それが『森中朋子』さんだと言うことを、支配人さんが教えてくれました」


不思議なことに、どこか冷静な自分がいた。

事実が重なれば重なるたび、僕は、亡くなった二人のことを鮮明に思い出す。



『歩……』



愛されていたという記憶が、とても懐かしく、そしてきらめく日々に思えてくる。

本当の親のことを知ると言うことが、

二人に対する裏切りかもしれないと悩んだときもあったが、

そうではないことが、今、ハッキリする。


『歩』

「はい」

『今晩、仕事を終えて『MORINAKA』へ来なさい』

「はい……」

『話をしよう』

「はい」


伯父が、電話を切る前に、言わないといけないことがある。


「伯父さん」

『何だ』

「拓を、同席させてください」


拓には、全てを知ってもらいたい。


「出来ませんか?」


アイツにも、しっかり前を向いて、生きて欲しいから。


『わかった』


僕はありがとうございますと礼をすると、緊張の電話を切った。

受話器を握っていた左手には、じんわりと汗をかいている。


「『パール』、おとなしく待っていてくれたんだな、ありがとう」


『パール』は嬉しそうに尻尾を振っている。

僕は、立ち上がり、そこからは少し早足をしながら、工場まで戻ることにした。





その日の仕事を終えて、僕は身支度を整えると、バイクの方に向かった。

ここから走っていけば、1時間くらいで着くだろう。


「あ……歩」

「はい」

「ねぇ、美味しい栗饅頭をいただいたの。りつさんに持って帰って」

「はい」


奥さんはそう言って僕を待たせると、5分後くらいに袋を持って現れた。

僕はそれを受け取り、リュックの中に入れる。


「今日は早いのね、遥ちゃん待たなくていいの?」

「あ……はい。今日は……」

「あら、ケンカでもしたわけじゃないわよね」

「してませんよ」


遥には、今日のことをきちんとメールした。

拓も同席することを知り、彼女もその方がいいとそう言ってくれた。


「それならいいけれど」

「大丈夫です。では、失礼します」

「はい」


奥さんに見送られ、僕はバイクにまたがった。

ヘルメットを被り、エンジンをかける。

足を乗せ、走り出し、全てを知るために『MORINAKA』を目指した。



【24-1】

手紙の謎から、真実の扉が開くとき……
歩の前に見えてくる 『天使のはしご』。
1日1回、読みましたの拍手、ランクぽちもお願いします(@゚ー゚@)ノヨロシクネ♪


コメント

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こんばんは^^

ドキドキ・・・いよいよね。

歩君、安全運転で行くんだよ!

今後の展開を想像しつつ、脳内にて 「なでしこ劇場」 を繰り広げてます(笑)

明日の更新を、首を長くして待ってますから~!

なんて、更新の催促をしてます (ふふっ)


毎日更新、いいね。

私も・・・できるかな?

おぉ!

なでしこちゃん、こんばんは

>今後の展開を想像しつつ、
 脳内にて 「なでしこ劇場」 を繰り広げてます(笑)

本当? どういう展開なのか、聞いてみたい!!
そういうふうに考えてもらえると、こっちも嬉しいです。

毎日更新、いいよ。
私は短くチョコチョコの方が、ブログにしやすい。
(日々の記事を書くのも、結構大変だから・笑)

しばらくこういう形になりそうです。