40 挑む相手 【40-2】

【40-2】

『コンスタン』



その日の仕事を終えてから、家に戻り、PCでこの『メーカー』のホームページを見る。

環奈さんが『折原製薬』の縁で、手伝ってもらえることになったと言っていた。



『NEDテレビ 1月ドラマタイアップ決定』



そういえば、ドラマのロケに使うことを条件に、途中で放り投げられた仕事を、

請け負ってくれたと言っていた。それがこのドラマなのだろうか。

大手の家具メーカーなどは、ドラマや映画のタイアップをして、

主人公たちが暮らす部屋のインテリアや家具を受け持つことが多い。

業界大手の『林田家具』も、今までヒットドラマなどに商品を提供し、

問い合わせの多い商品を生み出してきた。

『コンスタン』がどれほどのメーカーなのか、よくわからないけれど、

大手がするようなタイアップを取れるというのだから、

営業や管理職が業界にコネを持つ実力者なのかもしれない。



『シルヴァーノ高梨』



代表取締役の人物名を見ると、まだ年齢は38歳となっていた。

そして、『林田家具』にいたことも書かれている。

祖父が元々イタリア人で、彼は『林田家具』を退社後、イタリアへ向かい、

ヨーロッパの伝統的な家具作りを、いちから学んだと書いてあった。


外国に行き、外の世界を見てきた人。

この年齢で、会社を経営し、大手企業との関わりも持てる実力者。

どんな人物で、どんな家具を作り出すのか、単純に興味を持った。





次の日、三村さんは私に宣言したとおり、

これからは、すべて本名の折原で仕事をしていくことを宣言した。

名前がごちゃ混ぜになりそうだと伊吹さんや小菅さんは笑い、

名刺を作り直すことになるのかと、塩野さんは口を結ぶ。


「どういう気持ちの変化ですか?」


優葉ちゃんが、突撃レポーターのように素直に意見をぶつけると、

三村さんはしばらく考えるような仕草をする。


「うん……何もかもさらけ出してやらないと、何も残らない気がするからです」

「は?」


優葉ちゃんは納得できないという不思議そうな顔をしたが、

社長はどっちでも構わないと、相変わらず大雑把な性格を見せてくれる。


「とにかく、これからもよろしくお願いします。
社内的には三村でも折原でもどっちでもいいですから」

「おい、また迷うようなことを言うなよ」


伊吹さんの突っ込みで、折原さんの挨拶が終わり、またいつもの日々が戻ってきた。





「『コンスタン』」

「そう」


その日の昼食は、女子4人組が勢ぞろいした。

道場さんには、細かくではないけれど、

折原さんが急に態度を変えてしまった理由を説明する。

小菅さんも、環奈さんが来たことから全てわかっていたので、

そういうことだったのかと、頷きながら聞いてくれた。


「『コンスタン』代表者の『シルヴァーノ高梨』って人、
『林田家具』にいた人だと聞いたけれど」

「『シルヴァーノ高梨』……あぁ、はい。わかります。高梨俊作さんのことですね」



『高梨俊作』



「以前、先輩から聞いたことがあります。おじいさんがイタリア人なので、
クォーターらしいのですけど、すごく外人っぽい顔をしているので、
ぱっと見ると日本人には見えないって」

「へぇ……」

「でも、元々日本語を話す人ですから、
知ってしまえば単純に日本人だったらしいですよ、その頃は」


道場さんの話によると、やはり『林田家具』に入社した頃から、

デザインの才能にあふれ、仕事も出来たと言う。


「前にも言いましたけれど、『林田家具』は組織意欲が強いので、
個人としては輝きづらいんですよ。それで高梨さんも会社を辞めて、
こういう機会だからと、イタリアへ行ったらしくて」


デザイナーとしての経験値をあげて、日本へ戻ってきた。

国内でも色々と学べることがあるはずだが、

どうしても外から戻ってきたというタイプに、今だに日本人は弱い。


「『コンスタン』って、そういえば『MARBLE』のほら、どこだっけ、
別荘買収してエステホテルを建てる事業にも、確か関わることになったはずよ」



『MARBLE』



古川家と折原家のタッグ。

その中に高梨さんの『コンスタン』が入ったのだろうか。

元々、久我さんのお父さんが、

折原さんのお父さんにお願いしたところから話が始まっている。


仕事の内容を知り、普通に興味を持てた会社だったが、

その後ろにあるものが色々と問題を作りそうで、

単純な興味だけで近付くべきではないと、自分なりにそう考えた。




【40-3】


《 Dressing人物紹介&豆知識 》

≪Dressing 豆知識≫
日本の街路樹は、『イチョウ』、『サクラ』、『ケヤキ』の順番で多い。
イチョウは、まな板や将棋盤などによく使われ、
ケヤキは和の家具(和箪笥やちゃぶ台)の材料として重宝されている。

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