43 近づく日 【43-5】

【43-5】

伊吹さんと社長から発表されたのは、『FREE』というタイトルがついた、

新生活スタイルを応援する家具だった。

新入社員や若手サラリーマンを応援する、同名雑誌『FREE』とのコラボで、

価格設定を2つにわけ、それぞれでテーブル、椅子、ベッド、

本棚の4つを作ることになる。


「価格設定が2つあるのは、今のご時世を取り入れてってことだ。
中途半端な設定のものはなかなか売れない。安いのか、それとも高級なのか、
今ニーズは両極端だからな」


確かに低価格を売りにして、業績を伸ばしている企業と、

こだわり抜いた材料を使い、高級感を大切にする企業。

今、力を持っているのは、確かにどちらかの特色を持っている。


「うちは、本物を大事にしようと常に考えている。
だからといって、手が出ないようなものを満足げに作ることもしたくはない。
使い手あってのものだからな、家具は」


社長はそう言うと、1枚の紙を手に取った。中身を目で追ったあと、

それを私の方へ差し出してくる。


「あの……」

「今回、プレゼンに参加する企業は、うちと……」


同じように注文家具を手がける数社の名前が発表される。

『エアリアルリゾート』の時に、戦った企業名もそこにあった。


「……と、『コンスタン』だ」



『コンスタン』



その名前を聞き、私は思わず折原さんのことを見てしまった。


「うちの担当は、長峰と折原、二人で行く」


私と折原さん……


「あの、社長」

「『ナビナス女子大』の寮建設が終了して、長峰には大きな仕事が今、
入っていないだろう。折原は『エバハウス』の別荘関係の仕事があるけれど、
組み立てはほぼ出来たと聞いた」


仕事の内容が、大きい。

『DOデザイン』の名前を背負って、他企業と競うことになる。

しかも、『コンスタン』が入るとなると、高梨さんとの勝負もあるわけで。


「あの……」


私ではないだろう。

折原さんはともかく、私ではなくてここは……


「長峰」

「はい」

「お前とコンビでというのは、折原からの提案だ」


折原さんが?


「伊吹さん、でも……」

「俺も、これはお前と折原がいいと思う。
ターゲットにする年齢層に近いものが担当した方がいいと言うのは、
俺も社長も同じ意見だし」


一人でコツコツとする仕事なら、『ジュエリーボックス』のこともあり、

少しずつだけれど、自信もついた。

でも……


「長峰さん」

「はい」

「一緒に、勝負してください」



『勝負』



「力を……俺に力を貸してください」


私が折原さんに力を貸す……

一緒に勝負するのは、『コンスタン』



……というより、その企業に形を変えている、もっと大きなもの。



そういうことだろうか。


「お願いします」


折原さんの、未来をかけた戦い。

そう、あの絶対的に存在感があり、どんなことでも出来るあの人との勝負、

それなら……



私が逃げるわけにはいかない。



「わかりました」



心臓が飛び出るくらいの気持ちで、私は社長から紙を受け取った。




【43-6】


《 Dressing人物紹介&豆知識 》

【島浦かほる】
東京都選出の女性議員。秘書の一人は雪村龍。
以前は紘生の通った『青峰大学』の教授で、『男女平等』や、
『女性の社会進出』について、講義をしていた。

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