45 二人の戦い 【45-2】

【45-2】
「長峰さん。伊吹さんの言うことは理解したつもりです。
何よりも大事なのは『DOデザイン』が残ること。それは間違いない。
でも、このまま向こうの言いなりで辞退というのは、やはりあまりにも腹が立つので……」


腹が立つので、どうすると言うのだろう。


「どう……」

「そうですね、ガラスの瓶に火薬でも詰めて、
『コンスタン』の事務所に放り込みましょうか」

「……は?」



ガラス瓶に火薬……



「えーい! 全て燃えてしまえ! って」


折原さんはそういうと、コーヒーに口をつけた。

お父さんの話をし始めたので、真面目に話しているのかと思ったら、

急に現実離れした話しになってしまう。


「そんなことをして、私たちは捕まるわけですか? 警察に。私は嫌です」


あのコンクリートで固められた建物に、火をつけたとしても、

こちらの状態は変わらない。


「まぁ、確かにそうですね」

「確かに私も悔しいですし、しばらくはこの脱力感をぬぐえない気はしますが、
小菅さんを追い込まなくなったからよかったと思えば、
気持ちも変えられる気がします」

「気持ち?」

「はい。私たちは、誰に聞かれても見られても、正しいことをしているだけですから」



正しいこと……

私たちは正々堂々と仕事をし、これからも納得するものを作っていく。

規模が大きかろうが、小さかろうが、それは関係ない。


「悔しさは、仕事ではらしましょう。『コンスタン』と勝負して、次は勝てるように」


同じ業界で、互いに競い合っていくのだから、次の機会があったら、

絶対に負けないという思い。それを持ち続けたい。


「次ですか……」

「はい。私たちはデザインで勝負するべきです。火炎瓶投げて舌を出しても、
それはダメでしょう」


私は、コーヒーを飲みながら、自分自身に言い続けた。

気持ちを切り替えて、次を目指そう。

そう、私たちにはまだまだ、これからという時間があるのだから。


「そうですね、俺たちは『正しい』。それは誰に聞いても明らかなわけですから。
うん、そう、俺たちは『正しいこと』をしましょう」


折原さんは、そう納得するようにつぶやくと、またコーヒーを飲む。

飲んでいる間は、言葉が出てこないけれど、その視線は私の方を見るわけではなく、

どこか遠くにある何かを見ている気がしてしまう。


「折原さん」

「はい」

「何、考えているのですか」


嫌な予感がした。

『正しいこと』という言葉を、あえて何度も使うところが、どうも……


「何って、『正しいこと』ですよ」


折原さんがそういうと、全く正反対のことが起こる気がして、落ち着かなくなる。


「折原さん……」

「なんですか、長峰さん」

「正直に話してくれないと……色々とあとで困ります」


正直に何を考えているのか……


折原さんは、顎の下に手を添えて、何やら考えたままになった。



無言の時が10分くらい続き、私のコーヒーカップは空になってしまう。


「折原さん……」


そろそろ店を出ましょうかと、携帯で時間を確かめる。


「長峰さん。あさって、少し付き合ってほしい場所があります。
午後は仕事入れないでください」

「付き合って欲しいところ……ですか」

「はい」

「どこですか」


どこだろう、どこに行くつもりなのだろう。

ハッキリとした場所を聞かないと、もしかしたら……の思いが、

きっとそうだという確信に、変化しそうになる。



火炎瓶……まさかとは思うけれど。



「長峰さん」

「はい」

「俺、何か悪いことをしています? 
どうしてそんなに、こっちを責め立てるような目で見るのかなぁ」

「エ……私、そんなふうに見ています?」


どうなんだろうという不安が、そんな顔にしたのだろうか。

私は、目元を手で押さえ、軽く動かす。


「あの……妙な期待はしないでくださいね。
昼間からご休憩おいくら……というところではないですよ」

「……は?」


信じられない。人が真剣に聞いているのに。何が『ご休憩』だ。


「そんなこと考えていません」

「そうですか、それならよかったです」


折原さんは、そこで話を終わらせようと、伝票を手に取ろうとする。

私は、このまま誤魔化されてはいけないと、先に奪い取った。


「まだ終わっていません」

「……何がですか」

「どこに行くのか、教えてください。その場所によっては、行きませんから」


話しは一応落ち着いたのだ。やたらなことをして、振り出し以上の問題になるのは、

事務所のメンバーのためにも、よくない気がする。

折原さんは、周りにいる人たちを気にする仕草を見せた。




【45-3】


《 Dressing人物紹介&豆知識 》

≪Dressing 豆知識≫
漢字の『十』と『八』で合わせると『木』という字になることから、
10月8日は、『木の日』になっている。(昭和52年から)
ちなみに、108で入れ歯感謝デー・歯科技工の日でもある。

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