47 我らの場所 【47-1】

47 我らの場所

【47-1】
導き出された答え……


「答え……ですか」

「そう。この勝負がとんでもなく大変だということは、
俺たち以上に、折原自身がわかっていると思う。
長峰にはやれると、そう言い切ったのだろうけど、
絶対に勝てるなんて楽観的な予想はどこにもなくて、
負けるかもしれないという弱い気持ちを、あいつは必死に封じ込めている。
口に出した時点で、負けだと……。『孤独』に勝負するつもりなのだろう」


『孤独に戦うこと』

折原さんは、ご両親と揉めて外国に飛び出してから、ずっとそれを続けてきた。

誰がなんと言おうとも、自分の道を曲げないと宣言し、

言葉のハンデも、キャリアのハンデも、全て乗り越えてきた。



たった一人で……



「長峰に出来ないと言ったのは、実力がないからという意味ではないと思う」


そうだろうか。

折原さんの目、とても遠くに見えたのに。


「よく考えてみろよ、長峰のこの1年の活躍は、本当に目覚しいものがあると思う。
小菅も、長峰が伸びてくれたから、本当に嬉しいとよくそう言っていた。
俺も社長も、同じように思っているんだ」


私……


「入ってきた頃は、デザインが大好きだといつもキラキラしていたのに、
だんだん思いを表現出来なくなり、気付くといつもお前は、
自分からサブの仕事ばかりするようになっていた。
もっと前に出ろと言いたかったけれど、この仕事はこれという決まりがないだろう。
自信がないのに押し出してしまうと、もっと縮こまってしまうと、
そう考えたりして」


6年間で、私がメインだと胸を張れるのは、

確かにあの『チェスト』くらいしかないかもしれない。

頼まれたわけでもないのに、自分からサブに回っているうち、

それが当たり前のような気になっていた。


「折原が事務所に飛び込んできて、最初はぶつかってばかりいたけれど、
あれこれ言い合っている間に、長峰の気持ちにも変化が出てきて、
『エアリアルリゾート』とか、あのジュエリーボックスとか、
本当にお前らしいデザインを出せるようになってくれた。
俺や小菅がこれだけ思うんだ。そのきっかけを作った折原は、
もっとそう思っているだろう。長峰の中に生まれた、『小さな自信』を、
あいつはこのハンデつきの戦いで、傷つけたくないんじゃないかな」



『小さな自信』



「絶対に取れると思う仕事なら、それをさらなる自信につなげてやれる。
でも、今回はハンデがとにかく重い。だからお前を引きずり込みたくない……
俺は折原の話を聞いていて、そう思ったけれど……」



『……無理です』



突き放すように言われたのも、あれも、折原さんの演技ということだろうか。

高梨さんと紗枝さんの前で、『大芝居』をうち、

私にもその芝居の続きを見せたということだろうか。


「お前すら寄せ付けたくないという折原に、俺や道場が変わってフォローするのは、
どう考えても無理だろう」


伊吹さんは、タバコの吸殻を小さな缶の中に入れる。

そろそろ仕事終わりだから、下に持っていこうと、柵から外す。


折原さんも、本当はこの勝負、難しいとわかっている……

それでも、一人でも立ち向かおうとする意味。


「長峰」

「はい」

「男ってものは、どうしようもないくらい格好つける生き物なんだよ。
結婚でもすればさ、いいところばかり見せていられないけれど、それまでは、
頑張るわけ」

「伊吹さん……」

「時間は10日。そうなると、長峰が今、話していたようなフォローは、
絶対に必要だと思う。今、うちの事務所で、意地っ張りの折原のために、
その仕事を間違いなくこなせるのは誰か……考えればすぐに答えは出るだろう」


折原さんの気持ちを理解し、事務的なことをこなすこと。

それが出来るのは……


「……はい」

「うん」


そう、それが出来るのは、一人しかいないはず。


「伊吹さん、ありがとうございました。すみません、愚痴を聞いていただいて」

「いえいえ、どういたしまして。同じ道を目指すもの同士というのは、
分り合えるようで、難しいところもあるのかもな」


私はそうかもしれませんと言いながら、伊吹さんに頭を下げると、

一緒に事務所へ戻ることにした。


いきなり手を出せば、拒否されることくらいわかっている。

様子を見ながら……


「10日か……それにしてもあいつは、飛び降りるときに一応高さとかさ、
危険がどれくらいなのかくらい、確かめないのかねぇ……」


飛び降りるときというのは、ケンカのことを意味しているのだろうか。


「常識的なことだけで判断できないのが、折原さんですから」

「そうだな、そういえば」


伊吹さんは、明日社長と会うクライアントが、新しい仕事を生み出すかもしれないと、

楽しそうに話してくれる。

私は、その話を聞きながら、ぜひ、いい報告をしてくださいねと、後押しした。




【47-2】


《 Dressing人物紹介&豆知識 》

≪Dressing 豆知識≫
木材は材木の中にある精油成分により、それぞれ特有の香りを持ち、
ヒノキやヒバは抗菌、クスノキやヒバは殺虫、
ヒノキやスギには、防ダニの効果があると言われています。

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