57 親の背中 【57-4】

【57-4】
「何が入っているんですか」

「あぁ、あのな、昔の資料とかがあって、社長が若い頃に手がけたものとか、
『DOデザイン』の前身とも言える人たちが描いたデザイン画とか、あれこれ……」


伊吹さんの横に、折原さんが来てしまった。

こうなったら、開けた瞬間に探し出して、二人が資料を出している隙に、

隠してしまわないと。

親指を動かして回すタイプのカギ。そう、これだった。

それで、社長の決めた番号は……



決めた番号は……



「あれ?」

「長峰、お前忘れたのか」

「えっと……」


頭が慌しく動いているからだろうか。忘れてしまった。

4桁の番号、これを合わせないと開かないのに。

事務所の電話番号下4桁。いや、そんな番号ではなかった。

どうしよう……本当に思い出せない。

いや、いっそ、開かないのなら、開かなくてもいいけれど。

でも、私がいないところで開けられても困るし……


「えっと……」


『0』が最初についていた気がする。それらしき数字であわせてみるけれど、

鍵は開かない。


「最初、本当に『ゼロ』か?」

「そうです。これは間違いないはずです」


スケッチブックを取らないとならないのに、カギの暗号がわからない。

えっと……


「0912よ」


そう声を出してくれたのは、塩野さんだった。

慌てている私の横で、その数字を合わせてくれる。

カチンという音がして、両方の扉が開くようになる。


「あ……そうでした。0912」

「へぇ……0912。なんだろう。うちの創立記念か何かですか」


そう、なんだっけ、『0912』


「私の誕生日なの、9月12日」



あ……思い出した。

社長が決めた暗号、そう、塩野さんの誕生日。


「はい、どうぞ」


扉が開かれて、ダンボールがそこにあって。



私から一番遠い場所に、オレンジ色のスケッチブック。

どうしよう、ここからだと手が届かない。


「あ、これだ、これだ」


伊吹さんは、反対側に並んでいたファイルを数冊取ると、

横に立っていた紘生に手渡した。紘生はありがとうございますと言った後、

パラパラとめくっていく。


「すごいですね、結構手書きでしっかり」

「あぁ、今みたいにPCがない頃だからな」


よかった。二人とも全然関係ない方向を見ている。

これなら焦って出さなくても、この流れが終わった後で、出せば済むはず。

伊吹さんが向こうに動いたので、私はさりげなくスケッチブックを手に取った……



……が!



「あ……」

「ありがとうございます。これも資料ですね」

「違います。それは違います」


私のスケッチブックは、紘生に横取り出されてしまった。

でも、ここで大騒ぎをすれば、他の人たちにも何かと思われてしまう。



もう……



「あぁ、これ、ちょっとおもしろいですね」


紘生はそういうと、デスクの上にファイルを置いた。

そして、私のスケッチブックを、ご丁寧にデスクの一番下の引き出しに入れる。



さらに……



鍵をかけてしまった。



完全に、これが何かということをわかっていて、やっていること。


「どうですか、伊吹さんこれ」


私のスケッチブック……

あんなところに、置いておかなければよかった。


「はぁ……」


私は席に戻り、とりあえず仕事に向かうけれど、

『囚われた』スケッチブックが気になり、気持ちが集中できない。

その日、何度か紘生のいない時間に、ものを取る振りをしながら、

引き出しを引いてみるが、当然ながらカギがかかっているので、

開けることが出来なかった。




【57-5】


《 Dressing人物紹介&豆知識 》

≪Dressing 豆知識≫
『アンティーク』とは、骨董品や古美術品、
または伝統様式の家具のことを示すが、
輸入税関の法律では、製作後100年を経たものとされている。

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