62 緊張の再会 【62-1】

62 緊張の再会

【62-1】
『番場法律事務所』


前回ここに来たときには、思いがけず紘生のお父さんとお会いすることになり、

緊張しながらも、『材料費とデザイナー料金』という名前に変えた

お祝いまでいただくことが出来た。

その時、注文した家具に関しては、私に任せたいとそう言ってもらえた。

紘生が作った机と椅子のデザイン画と設計図は、きちんと残っている。

だから、素材を決め、寸法を測り、進めていけばいいのだけれど……



いいのだけれど……



「奥様にということですか」

「はい」


もちろん、社長室に直接出向かないと、家具の寸法は正確にわからない。

仕事という形で頼んでくれた以上、『折原製薬』に連絡をしても、

それなりの対応をしてくれるはずだけれど、やはり、どこか偏っている気がしてしまう。


「どうせ『折原製薬』をたずねるのなら、お母さんにもお会いできないかなと、
そう思って」

「ほぉ……」

「紘生が机と椅子をお父さんに贈ったことは、すでにご存知でしょうけれど、
その後のことをどこまでわかってくださっているのか」

「その後?」

「はい。私がまた別の仕事を依頼されたことや、お祝い……のようなものを、
いただいてしまったことも」

「あぁ、そういうことですか」

「すみません。番場さんにお話することではないかもしれませんが、
あと、折原家のことをお聞きできる方が……」


いないわけではない。

本来なら、お母さんの近くにいる紗枝さんに、聞くほうが確実かもしれない。

でも、紗枝さんの気持ちを思うと、それでいいのだという決心がつかなかった。


「社長は、あぁ見えても奥様には弱いんですよ。なので、ボンの贈り物のことも、
それからどういう態度を取ったのかも、きっとご存知なはずですよ」

「そうでしょうか」

「はい。間違いないです」


お父さんと紘生が、一人の独立した人間として、堂々と渡り合ったこと、

お母さんはご存知なのだろうか。


「社長のところに行く用件があるのなら、
さりげなく奥様の様子を伺ったらどうですか。実際のところ奥様も、
意地を張ってしまっただけに、長峰さんとどう近付けばいいのか、
色々と考えているところかもしれませんしね」


私と近付く方法。

そんなふうに思ってくれているのなら、嬉しいけれど。

番場さんの言うとおり、特別に意識せず、

気にかけていることを、まずはわかってもらうべきかもしれない。


「そうですか、あのボンが結婚ですか」

「まだ、何も決まっていませんけど」

「いえいえ……」


番場さんは、人生はあっという間ですねと笑いながら、

私が手土産にしたカステラを、一切れ口に入れる。


「番場さん、お体の方は大丈夫ですか」

「私ですか?」

「はい。紘生が前に、番場さんが大きな病気をされたことを気にしていたので」

「あぁ、はいはい、大丈夫ですよ」


番場さんは両手に力を入れ、ポージングをしてみせる。

私は、そんな番場さんの仕草がおかしくて、しばらく笑いが止まらなかった。





『DOデザイン』のデザイナー、長峰知花として、『折原製薬』に連絡を入れたのは、

その次の日だった。注文家具の依頼を受けたのでと秘書の方に話をすると、

確認を取らせて欲しいという答えが返ってきた。


「わかりました。それでは、寸法日程のことも含めて、
お返事をお待ちしています」


私は受話器を置くと、一度大きくため息をつく。

目の前に座っているはずの紘生は、席を外していた。

私は新聞を読んでいる社長の前に立つ。


「社長、ちょっといいですか」

「おぉ、どうした」

「今、『折原製薬』に連絡を入れました。以前、お話したとおり、
折原さんが贈った机と椅子を見たお父さん……というか社長から、同じ部屋に入れる、
本棚なども作って欲しいと言われて、お金を……」

「あぁ、お前たちへの祝いを、変形させたやつだな」

「はい。それで、どうしようかと考えたのですが、寸法を測らせていただきたいと、
今、本社に連絡を入れて」

「寸法?」

「はい。社長室がどれくらいの大きさなのかわからないのもありますし、
実は……」


きっかけを作りたい。それが私の本音。


「折原か」

「はい。二人で結婚は決めたのですが、折原のお母さんには反対されたままなんです。
ですので、これをきっかけに私たちと会っていただける何かをと思いまして」

「うん」

「妙な話なんですが、折原さんを私のサブということで、
仕事に連れて行ってもいいでしょうか」


普通、家具作りの仕事は、それぞれが担当を持ち、最後まで責任を負っている。

もちろん、みなさんの意見を聞いたり、担当が途中で変わることもあるが、

複数で仕事を受け持つ場合には、責任者になるデザイナーが、

社長に一人では難しい理由を話し、受け入れてもらうか、

社長自身が最初から担当者を割り振るのが、『DOデザイン』のやり方だった。




【62-2】


《 Dressing人物紹介&豆知識 》

≪Dressing 豆知識≫
共働きの夫婦は、59%(2012年総務省労働力調査)で、半数を超えているが、
特に、地方(山形、福井、島根など日本海側)の割合が高く、
東京や神奈川など都市部では低い。

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