11 Criminal 【罪人】 【11-1】

11 Criminal 【罪人】

【11-1】


アレンが揉めたというのは、以前も同じような事を起こした他校の生徒だった。

ケンカの理由は、その女子生徒が憧れる先輩と、

アレンが駅のホームで親しそうに話しをしていて、気に入らなかったという、

あまりにもお粗末なものだった。


「まぁ、お互いに学校へ連絡するとなると、話しが大きくなりますからね。
ここは穏便にということになりました」


彼女たちが大きな声を出し、洋服をつかみ合っていたことで慌てた、

年配者からの通報と言うこともあり、警察も事件扱いにはしないつもりだと話される。

それにしても、向こうの学生は4名いたらしい。


「向こうは4人ですか」

「はい。その4人も、ボタンが取れたり、制服が土に汚れたり、
同じような状態でしたよ」


4対1。


「よく向かって行ったな。ちょっと感心するけど……」

「宇野先生」


廊下でアレンと一緒に座っていた女性が、僕達のところに入ってきた。


「宇野先生が姿を見せてくれたので、やっとあの子から電話番号を聞けました。
お母さんは、すでに塾の方から連絡は入っていたようですが、
状況をしっかりお話して、こちらに向かってくれるように、お願いしました」

「はい、ありがとうございます。彼女の家は、喫茶店を経営していて……」

「えぇ。お店の方はと伺ったら、料理を作る人はいるので、
助っ人を頼んでくださるそうです」

「そうですか」


そう、いくら塾の番号を言い、アレンが宇野を寄こせといっても、

最終的に引き取ることは、保護者しか出来ない。

それは当たり前のこと。


「お忙しいところを、申し訳ありませんでした」

「いえ、こちらこそ。うちの塾生が、ご迷惑をおかけしました」


僕は、僕の出来る範囲のことを、とにかくこなした。

担当の警察官たちに、あらためて頭を下げる。


「とりあえず、よかったですね」

「はい。ありがとうございました」


相馬さんにも頭を下げられ、僕はそんなことは必要ないですよと、返事をする。

『ただここに来ただけ』

ただ、それだけなのだから。


ようするに僕は、何かを動かすことなど出来ない。

アレンに誘われて来たまでのこと。

相馬さんと二人で、アレンの待つ廊下へ戻る。


「アレン」


顔を上げたアレンの表情は、最初の時とは違う、神妙なものだった。


「わかってる」

「何をわかってる」

「こんなことしてはいけないって。でも……」

「でも?」


でも……

このケンカに正当性を、導くつもりだろうか。


「私、庄治先生……やっぱり嫌」

「庄治先生?」

「うん……」


アレンは、こうなったら思いは全てぶちまけようとしているのだろうか、

明らかにケンカの原因とは違った方向へ、話を動かした。


「あのなぁ……話が違うだろ」

「違わない」


確かに、塾の講師と生徒とは言え、人間対人間。

好き嫌いも、相性もあるだろうが……


「アレン、どさくさに紛れて、何を言っているんだ。
今日のことに庄治先生は関係がないだろう。いや、ちょっと待て。
庄治先生だって心配して、電話に出てくださったんだぞ」


出てくださったというより、出て、怒りをぶちまけていたということだけれど。


「そう、電話口でも聞こえてきたからわかった。どうして庄治先生が出るのよって」

「……山東さん」


庄治先生に電話を振ってしまった相馬さんは、自分が余計なことをしたと、

アレンに頭を下げようとした。僕はそれは必要ないことだと、

彼女の前に手を出し、動きを止める。


「僕は授業中だった。正規に授業を受けている学生の時間を奪う権利は、
アレンにないだろう。あの時、アレンを受け持っていて、
授業でなかったのが庄治先生だった。それに文句を言うやつがいるか」

「はぁ……って……いつものが、聞こえてきたの」


はぁ……

アレンは肩をあげて、息を吐くポーズを取った。

どういう意味だろう。


「どういう意味だ、はぁ……って」

「庄治先生、いつも授業中、私にこうするの。
今のは少しオーバーにしてみたけれど、でも、いつもするの。
言葉では言わないけれど、どうして出した問題がすぐに出来ないのかなとか、
わからないのなら、グズグズしていないで、さっさと聞きなさいとか、
ようするにそういう意味なの」


アレンの言葉を聞きながら、僕は助けを求めるように相馬さんを見る。

彼女はアレンに気付かれないように、僕と目をあわせ、小さく頷いた。



庄治先生のクセ……

おそらくそういうことだろう。




【11-2】

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