25 Axis 【軸】 【25-2】

【25-2】


あの日、怪しげな男が寄こした1枚の写真。

知っている情報を交換しようなどと、笑みを浮かべていた。

彩夏と一緒に映る、この男。

そう、どこかで見たことがあった。

僕が顔を覚えているとしたら、仕事先の人、塾の関係者、色々と浮かべてみるが、

これだという人物には到達しない。


「はぁ……」


道ですれ違ったなどというレベルでは、ないはずだけれど。

写真を手に持ちながら、ソファーに横になる。


「ん……」


背中にテレビのリモコンが当たったので、それを取ってテーブルに乗せた。


「テレビ……か……」


そういえば、ここのところ、病院と仕事とに追われて、

テレビなどつけたことがなかった。

とりあえずリモコンを持ち、スイッチを押す。

夜10時過ぎのニュースが流れ、特集コーナーなのか、

司会者が数名の政治家を座らせた画面が映る。


『全ての人々が、よりよい生活を送ることが出来る世の中を作る……という
政治理念を掲げ、近頃勢力を伸ばしている、権民の会代表、
『大場晶(あきら』さんです』

『どうも……』



『大場晶』



「あ……」


僕は急いで、写真を見た。

彩夏と映っている男、これは……



今、画面に映り、政治家の目指すものとはと、熱弁をふるっているこの男だ。



近頃、討論番組でも何度も見かけたし、そういえば、以前、

『ストレイジ』関連のパーティーでも、見かけたことがあった。

あの時は選挙が近く、挨拶をして回っていた記憶がある。



『人は、全て平等です……』



この男と……



もらった写真をさらによく見ると、二人の後ろにある電信柱に、番地名が書いてあった。

すぐにPCを立ち上げ、その住所を入力する。



『HOTEL GLANDIA』



彩夏は、この男とも付き合いがあったのだろうか。



『大場晶』


名前をネットで検索すると、ある週刊誌の特集記事にヒットした。



『期待の政治家が見つけた、危ない恋の相手は、老舗の娘』



『老舗』

彩夏の実家が、有名な『滝華』だということは、春川さんから聞いている。

危ない恋の相手ということで、大場晶のプロフィールを見ると、

1年くらい前に、結婚していることがわかる。



『不倫』

そういえば、写真を寄こした男は、この言葉を口にした。

彩夏は、この政治家と、不倫関係を続けていたということだろうか。



『柾……』


彼女は僕の名前を呼んだと、そう母親は言っていたが……



今まで知ろうともしなかったことが、次々と明らかになることで、

僕の気持ちは少なからず乱されたが、

今やるべきことは彩夏自身と話すことだと心を決め、テレビのスイッチを切った。





『待っています』



今まで、自分を抑えることしかしてこなかった相馬さんが、

僕に対して、しっかりと気持ちをあらわしてくれた。

『誠意』というものは、読み上げるほど簡単なものではないけれど、

今、出来ることは、ひとつしかなくて……


「申し訳ありません。限られた方からのお見舞いのみ、受け付けるようにと、
言われておりますので」


僕に対する壁だと思っていたけれど、あの政治家とのことが本当なら、

この間のような男を、中に入れないためだとも思えてくる。



『大西彩夏』



彼女のメールアドレス。

今、ベッドの上にいるのだから、メールをしても読まないだろうが、

このままただ、断られ続けているわけにもいかない。



『話をさせて欲しい』



こういった内容のメールを、ロビーの椅子に座りながら作っていると、

聞こえていた足音が、僕の目の前で止まった。




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