5 平然とウソがつける人 【5-1】

5 平然とウソがつける人
【5-1】
「そういえば、前に先輩の実家が、家を賃貸のマンションにしたと、
聞いたことがあったけど……」

「本当ですか? 商売は? 今でも、成功しています?」


祥太郎は、自分に関係ある話が出来ると思い、場所はどの辺なのかと有紗に尋ねる。

有紗は、思っていたよりも祥太郎の気持ちが前向きなことに驚きながらも、

口に出した情報の詳細を、思い出そうとする。


「あぁ……はい。確か、クリーニング店だったかな。場所は……」


自分の前で話のラインが飛び交う大輔は席を立つと、

祥太郎の背中をポンと叩き、自分の場所を譲った。

祥太郎はその場所を素直に受け取ったため、大輔はまた元の位置に戻る。

一番奥が司、真ん中に祥太郎、大輔は一番最初に座っていた場所になった。


「だとしたら、計画案だけでも……ねぇ」

「そうそう。そうしてみたらいい」

「そうなのかな」


祥太郎はそういうと、どこに相談すればいいだろうと、ため息をつく。

祥太郎の視線は、司と有紗の方に向けられたままだったので、

正面になる真帆は、自分の信用金庫にいた過去を、

言いだすタイミングと勇気が持ちきれず、黙ってしまう。


「つまらない……ですか?」

「エ……」


大輔は目の前に座った陽菜にそういうと、両手で四角を作り顔の前に出した。

陽菜は、大輔が何をしているのかわからずに、ただ指で作った四角をじっと見る。


「今日一日、カメラで園児の顔も、先生たちの顔も、色々撮らせてもらいました。
わがままだけれど、かわいい園児たちと過ごしていたはるな先生は、
今と違い、とてもいい笑顔でしたけどね」


大輔は、どっちが子供だかわからないくらいだったと、軽く笑う。

陽菜は、大輔の作った四角が、ファインダーだと気付く。


「そうでしたか?」

「はい。でもまぁ、わからないですよね。いつも撮られるのは園児で、
先生の姿は、写真の隅にあるくらいでしょうし」


大輔は、もし入っていたら渡しますよと陽菜に言うと、

空になったグラスを横に置く。


「まぁ、そういう俺も、あまりこういう席が得意ではないので、
いつも大輔は機嫌が悪いのかと、怒られるんですけど」


大輔は、司のように周りを見て話を振ることが出来ないし、

祥太郎のように、思い切りその場に入り込むことも出来ないと話す。


「だから、こうして隅にいるのが落ち着くんですよ、俺」

「あ……わかります」


陽菜もそう答えると、自然と笑みが浮かぶ。

頑張って入ろうとすると、

どうしてなのか浮き上がってしまうのは自分だけではなかったと思い、

残りのお酒を飲み干した。



それぞれのことを語り、偶然に知り合ったことを『縁』だと結論付けた6人は、

互いのアドレスや電話番号を交換し、その日はお開きとなった。

司が全員のアドレスをまとめ、一斉に送信することを約束する。

その場の雰囲気を感じ取った瞬が、小さな袋を持ち、テーブルの前に来てくれた。

真帆や有紗は、サービスまでしてもらって申し訳ないと、瞬に声をかける。


「いやいや、こちらこそ、この店を会場にしてもらってよかったです。
また、個人的に利用してもらえると、ありがたいので……」


瞬は店のアドレスや番号が書いてある自分の名刺を、メンバー全員に配る。


「結婚式での出会いだろ。次はこの中から誰が結婚するかっていうのも、
おもしろいと思うよ」


瞬はそういうと、誰か本当は隠していないかと笑顔を見せた。



『結婚』



瞬の口からその言葉を聞いた陽菜は、

大輔との会話で少しほどけていた緊張の糸が、また一瞬で絡みつくのを感じた。

人の思いには全く気付いていないのか、わかっていてわざと口にするのか、

どちらにしても、気分がいいものではない。


「そうか……『結婚』ね」


有紗はそういうと、何度も首を振る。


「私は無理です。みなさんどうぞ、お先に」

「どうして? 山吹さんなんて、すぐにでも相手、見つけられそうなのに」


祥太郎はそういうと、瞬の名刺を財布の中に入れる。


「秘書課は、女性ばかりなんです……」


有紗はそういうと、この中なら緑川さんでしょうと、司を見る。


「俺?」

「そうですよ。緑川さん、絶対にもてるでしょう」


軽く酔っている状態の有紗は、それだけ気をつかうことが出来て、

話も楽しいし、彼女がいないわけがないと、隣にいる真帆の肩を叩く。


「あ……うん」

「そう見えるのかな、俺」

「まぁ、普通は見えるよね、司は」


祥太郎は、司のネクタイをわざと締めるようにする。


「よせって、祥太郎」

「もし、そんなことはないと言うのなら、緑川さん、女性への理想が高いんです」


有紗のセリフに、司は苦笑する。


「どこをどう見て、そう思うんだ」

「色々……」


そんな会話を聞いていた大輔が、会費をテーブルに置く。


「すみません、寄るところがあるので、お先に」

「あ……」


大輔は大きな荷物を動かしながら、メンバーに軽く頭を下げると、席から離れていく。

その姿は、ウエイターや他の客混ざりながら、あっという間に店外に消えた。



【5-2】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
みなさんのコメント、拍手、ポチなど、お待ちしてます。

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Comment

みち

こんにちは
恋模様、想像するのが楽しいです。
私の予想、当たるかな(≧∇≦)
  • URL
  • 2016/11/27 17:53

ももんた

みちさん、こんばんは

>恋模様、想像するのが楽しいです。
 私の予想、当たるかな(≧∇≦)

6人の主な登場人物。それぞれの状況、過去などもわかり、
これから、恋模様なのか、わかることも増えてきます。
ぜひぜひ、想像しながら、お楽しみください。
  • URL
  • 2016/11/27 21:59

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あなたの色と私の色。6人の恋模様が生み出す『COLOR』は……
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