6 白と黒、オセロとは限らない 【6-6】

【6-6】
「そんなことないよ、嬉しい」


真帆は、抱えていたクッションをさらに強く握る。


「真帆。私はね、お見合いだって、悪くはないと思うよ。
そういう出会いで幸せになっている人も、世の中にはたくさんいるし。
だから、真帆がしたいのならいいけれど、なんとなくしてしまうのは相手に失礼でしょ」

「……うん」


陽菜と真帆は、それからも二人で語り続け、

気付くと時計は、とっくに次の日をさしていた。



「ねぇ、修学旅行みたいだね」

「修学旅行はそれぞれ布団がありました」


結局、真帆は陽菜の部屋に泊まることになったが、布団がなかったため、

二人でべッドに潜り込む。


「ねぇ、陽菜」

「何?」

「互いに冷めているなんて言って、緑川さんとのこと、
ウソから本当になることってない?」


真帆は、体を横に向け、興味深そうに聞いてくる。


「ないない。彼は私以上に、結婚に冷めている人だって、そう思ったから」


陽菜はそういうと、部屋のライトを消した。





「……クシャン」

「どうした、司。風邪かよ」

「いや、急に鼻がムズムズした。この店、掃除しているのかよ」

「どういう発言だよ。お前、営業妨害だ」


次の日、司は営業の途中で『華楽』に立ち寄った。

混雑のピークは過ぎていて、店内には客が2人だけになる。

いつもなら話しやすいからとカウンターに座る司だったが、

今日は、話があるからと、祥太郎にテーブル席を勧められた。


「これなんだ」

「ん?」


祥太郎が見せたのは、両親に話した店の改築計画だった。

司は大まかに目を通す。


「ほぉ……」

「どう思う?」

「俺に聞くのか」

「あぁ、友達としてさ」


祥太郎は何かを期待しているのか、司の顔をじっと見る。

司は祥太郎の顔を見ながら、『あのな』と話を切り出した。


「お前さ、大学時代も優秀で、教授からの受けもとにかくよかった。
やることも間違いないし、人望もあった、それは認める」

「うん」

「うん……って。まぁいいよ。でも、ひとつだけ言うけどさ、
なんていうのかな、要領? というか、効率が悪いよ」

「効率?」

「そう。お前は、身近な人間に話をして、いいよね、いいよねって言葉を聞いて、
気持ちを奮い立たせているのかもしれないけどさ、いいか、そんなことに、
何ひとつ意味なんてないぞ」


司は、こういったものは、詳しい人間に話して、具体的な金額、

それから生まれる利益など、計算してもらったほうが、さらに自信につながると、

そう言い始める。


「今、銀行とか、建設関係でも、相談料金は安く済む。
本気ならそこへ持っていって、本物を積み上げろって」


司はそういうと、しょうが焼き定食を食べ進める。


「だからさ、俺、彼女にメールしたんだよ」

「彼女?」

「ほら、山吹さん」


祥太郎は、この間の飲み会で出会った『リファーレ』の有紗のことを話す。


「彼女の先輩が、実家でそういうことをしたって、言っていたからさ。
もう一度会ってもらえませんかって、そう……」


祥太郎は、素敵な人だったからと、本音をチラッと白状する。


「ほぉ……」

「ほぉ……って」

「やるねぇ、祥太郎君」


司は、それで返事は来たのかと、確認する。


「それが、まだなんだ」

「まだ」

「うん……」


祥太郎は、少し強引だったのかなと、携帯を取り出した。

すると『あ……』と声を出す。


「どうした」

「山吹さんだ」


祥太郎は司に背を向けて、メールを開く。


「なんで背中を向けるんだ」


司は、祥太郎との会話が途切れたので、また定食を食べ進めた。


「おい、司。会いましょうって」

「そうか、よかったな」

「でもさ、黄原さんも一緒だって」

「黄原さん? あぁ、あのハンカチを落とした」

「うん」


有紗はメールの中で、先輩から話を聞いてくること、

そして、実は真帆が元、信用金庫にいたのだという情報も披露した。


「黄原さん、信用金庫にいたんだ」

「ん? へぇ……そうだったんだ。あの日は、そんなこと言ってなかったな」

「うん」


祥太郎は、有紗に対して、都合がいい日はいつですかと打ち込もうとした手を止める。


「司、お前いつなら空いてる?」

「……どうして俺?」

「だって、黄原さんも来るんだぞ。俺一人じゃ悪いだろ」


祥太郎はそういうと、早く手帳でも見ろと急かし始める。

司は仕方がないなと言いながら、手帳を開いていく。


「土曜日はバツ。平日ならどうにかなる」

「うん」

「祥太郎、しょうが焼き、おかわりくれない?」

「……ダメ」


祥太郎は、司からの予定を聞いた後、すぐに返信メールを打ち込んだ。



【7-1】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
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