9 あの人にいつか来る日 【9-1】

9 あの人にいつか来る日
【9-1】
「いいねぇ、いいよ、これ」


『フォトラリー』の編集部に到着した大輔は、すぐにカメラのデータを宮石に渡した。

昔と違い、今はデジタルのため、すぐに確認ができる。


「あの……」

「ん?」

「灰田には業界紙に勤める愛人がいると、先日言われましたよね」

「あぁ、付き合いは長いそうだ。妻も公認という、妙な関係だけれどね」

「他にも……」

「他?」


宮石は、レンズから顔を前に向ける。


「他にも女がいるかってこと?」

「はい」

「言わなかったか? とにかく灰田はもてる。
学生時代から、クルーザーを乗り回すお坊ちゃまだからさ、女がいないときはない。
だから、その業界紙の記者以外にも、贔屓の飲み屋のホステスとか、あと……」


宮石は、またレンズをのぞく。


「秘書やタレントのタマゴあたりにも、昔からすぐ手を出すらしいから。
今もそんな相手は、色々いるだろう」


宮石はそういうと、すぐにデータを出そうと、動き出す。

大輔は、一瞬だけ見た有紗のことを思い出した。

あの時間に会合が終わることを知っていて、

そこから『仕事ではない時間』を過ごすため、待っていた。

そう考えると、一番しっくりくるのだが、

自分のプライベートで、顔をあわせたことがある人だけに、

『仕事』という意味の情報が頭に入っていかなくなる。


「白井君が追うのは、業界紙の記者とのショットだけでいい。
今回はあくまでも『リファーレ』のクーデターが主な話だからね。
あれこれいる付属のような女に、世の中を動かす力はないし。
色々と撮っても面倒なだけだ。プライバシーがどうのこうのって……大変だろ」

「はい」


大輔はこれ以上、考えないようにしようと前を向く。


「そうか……あの議員が灰田に会ったわけだ。勝負ありってことかな」


宮石のつぶやきを聞きながら、大輔は腕時計を見る。

のんびり食事が取れると思っていた日は、

あっという間に11時近くになろうとしていた。





「あぁ……今日は最高の気分だ」

「外は雨になりそうですよ」

「そんなことはどうでもいい。仕事もしっかりはかどった……」


灰田は、隣に眠る有紗の髪をそっとなでていく。


「それに、有紗がこうして私の腕の中にいるしね」

「……部長」


灰田の腕に引き寄せられ、有紗は嬉しそうに目を閉じた。

実際、灰田がどういうことに関わっているのか、有紗は知らない部分も多かったが、

常に連絡を取り合い、言われた場所に向かうだけの準備だけは続けていた。

行動力と、経済力。そして、自分を包み込むような優しいセリフ。

有紗も、灰田との関係に、酔いしれていく。


「これからしばらく、忙しくなる。
こうした時間を持つことが難しくなるかもしれないと、そう思っていたのに。
ダメだな。体も心も、君を欲しがってしまう」

「私は……いつでもそばにいます」

「うん」


灰田は引き寄せた有紗のうなじにキスを落とすと、

もうしばらくこのままでいて欲しいと、耳元でささやいた。





「よし、これでどうかな」


祥太郎に『華楽』の建て直し計画を教えてもらってから、

真帆は毎日、それを実行させるためにはどうすればいいのか、手順を考えていた。

一番問題になるのが、お金をどう用意するかであることは間違いなく、

そこをクリアするためには、何を調べ、何を資料にすればいいのか、

自分の知識だけでは足りない部分が見つかると、信用金庫当時、

親しくしてくれた上司に連絡をして、情報を得た。

出来上がったら連絡して欲しいと、祥太郎に言われていたため、

メールでも打とうかと思ったが、その指は直前で止まってしまう。

祥太郎が言ったのは、書類の見直しだった。

頼りにされたことが嬉しくて、色々と付属部分をつけてしまったが、

ここまで来て出来上がった資料の多さを見ると、

あまりにも自分自身が張り切りすぎていないだろうか、

押し付けになっていないだろうかと、真帆は不安が増していく。

当初、真帆よりも有紗に対して気があるように見えた祥太郎なだけに、

もしかしたら有紗にも何か連絡を取っていないか、また弱気の虫が顔を出した。

何か基準があるわけではないが、あと2日くらい待ってから連絡しようと、

真帆は調べてきた書類やデータを封筒の中に押し込み、

お風呂にお湯を入れるため立ち上がった。



【9-2】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
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