10 愛想笑いと冷静な目 【10-4】

【10-4】
「それでも、これだけのものをいただけるのだから、
お姉さん、本当に感謝されているんですね」


有紗は、たしか結構な値段がしたものだった気がすると、瓶を置く。


「大輔の姉さんは、俺たちよりも3つ年上なんだよね。俺たちが大学時代は、
まだ大輔と一緒に住んでくれていたから、よく飯を作ってもらったりしたよな……」


祥太郎はそういうと、ネギを切って料理の上にかける。


「あ……じゃぁ、もう、ご結婚されて?」


真帆は何気なくそう言ったが、男性側からはすぐに言葉が戻らない。

真帆は、余計なことを言ってしまったと、直感でそう思う。


「それがまだ結婚していないんだ。結婚、決まりかけていたのに、
俺がカメラの手伝いをさせて。山で足……怪我をしたから。
結局、それから破談になって。なんだろう、引きずるように歩くからかな。
ハンデなんだろうけど」


大輔の告白に、真帆も有紗も、どう答えたらいいのか、迷ってしまう。


「そういう言い方をするなって、大輔。
文乃さんはお前のせいだなんて、一度も言っていない」


女性陣の戸惑いを見抜いた司はそういうと、

本当に素敵な人だよと、文乃のことを話す。


「よし、最初はこんなものでどうかな」


祥太郎が料理はとりあえずここまでだと、厨房から顔を出す。


「いいんじゃないの? お前、これだけ料理が出来るんだって、
結構俺、驚いているんだけど」


司はそういうと、大輔にそうだよなという視線を送る。


「確かに……」

「バカにしてるだろ、お前たち」


そんなことはないよなと言いながら、大輔と司が席につき、

女性たちもそれぞれが座りだす。

厨房に一番近い場所に祥太郎が座り、その横に司、そして大輔が並んだ。

女性陣は、祥太郎に頼みごとをされた真帆が前に座り、陽菜、有紗と続く。

とりあえず、最初は全員、日本酒で始めましょうということになり、

それぞれにコップが渡された。


「司、何か言ってよ」

「どうして俺なんだよ。今回は女性の方から出てもらおうよ」


6人が席につき、いざ乾杯が誰がするかと、それぞれが顔を見合わせる。

司の目は、前に座る陽菜を見た。


「そうだ、こういう機会も滅多にないし。
赤尾さんに、はるな先生ってところを、見せてもらうっていうのはどうだろうか」

「エ?」

「いいかも、私もはるなの先生姿、見てみたい」


有紗はそういう『おふざけ』は楽しいかもと、コップを持った。


「ちょっと何? どういうふうに乾杯するの?」

「ほら、あの子供たちにお弁当をいただきますっていう……あの感じ」

「あはは……それ、いいね」


真帆と祥太郎もその意見に賛同し、ここは楽しく始めようと意見が一致する。

始めは他の人に役目を降ろうとした陽菜だったが、あくまでも洒落だと言われ、

結局、その場で立ち上がる。


「それでは、みなさんバカにしないで、きちんと真面目にお付き合いくださいね」


すでに楽しもうとしている真帆が、かわいらしく右手をあげて、

『はーい』と返事をする。陽菜は真帆の方を向き、『手はおひざ』と言いながら、

両手で膝をポンと叩く。


「おぉ……」


幼稚園の先生らしい動きだと、司と祥太郎が顔を見合わせた。

大輔は、最初の遠足ではるなが見せていた表情を思い出す。


「では……」


陽菜は一度軽く咳払いをすると、『みんな、用意は出来ましたか』と声を出した。

その独特な言い回しに、思わず司が『プッ』と息を漏らす。


「ほら、司君。ご挨拶ですよ。手はおひざ」

「はい……」


陽菜は司を注意した後、納得したように大きく頷く。


「これから、お食事会を始めます。みなさん、美味しいお食事を作ってくれた……」


陽菜の視線が祥太郎に向かう。


「祥太郎さんに感謝をして、しっかり噛んで、残さずに食べましょう」


陽菜の挨拶に、全員がとりあえず手を膝に乗せる。


「それでは……いただきます」


『いただきます』の声に合わせて、それぞれがグラスをつかみ、乾杯の仕草をする。

陽菜は任務を終えて、席に座った。


「すごいね、声も変わるんだ」


司は、お手拭で手を拭きながら、そう言った。


「……変わってた?」


陽菜は、隣に座っている有紗の方を見る。


「変わってた、変わってた……ねぇ」


有紗は、そうだよねという視線を大輔に送った。

大輔は、頷きながら笑顔になる。

陽菜は、自分ではあまりよくわからないと言いながら、お酒に口をつけた。



【10-5】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
みなさんのコメント、拍手、ポチなど、お待ちしてます。

Pagination

Trackback

Trackback URL

http://momonta1108.blog75.fc2.com/tb.php/3178-f00862fb

Comment

ももんた

hujiyamaさん、こんばんは
ごめんなさい、拍手コメントの方を見ていなくて、
すっかりお返事が遅れてしまいました。
私の方こそ、これからも楽しく続けさせてもらいたいので、
お気楽に遊びに来てくださいね。
コメント、ありがとうございました。
  • URL
  • 2017/01/12 21:20

Post Your Comment

コメント登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

momonta

Author:momonta
ただいま、怪獣2匹を飼育中の、お気楽主婦です。
日々のちょっとしたこと、趣味で取り組んでいる『創作』を、このブログに書いていきたいと思っています。
飲み物片手に、立ち寄ってくださいね。

なお、作品の無断転載やお持ち帰りはご遠慮ください。
著作権は放棄していません。お願いします。

ただいま、連載中!

あなたの色と私の色。6人の恋模様が生み出す『COLOR』は……
ただいま発芽室では『Colors』を連載中! こちらからどうぞ

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

お供、提供中!

この人は誰だろう……悩んだ時には、迷わずGO!
発芽培養所では『Colors 50音人物紹介』を掲載中! こちらからどうぞ

FC2ブログランキング

小説・文学部門に参加しています。

FC2Blog Ranking

毎日1回、ポチッとしてもらえたら嬉しいです。見えないライバル達と、格闘中!

いらっしゃいませ!

QRコード

QRコード

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
453位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ロマンス
6位
アクセスランキングを見る>>