13 親友に語られる秘密 【13-4】

【13-4】
「はいはい、ちょっと待てって」


祥太郎は俺に任せておけと話すと、厨房に戻る。


「司」

「……ん?」

「もしさ……」


大輔は司の顔を見る。


「もし、姉ちゃんが前向きになったら……」


大輔の言葉に、司は『うん』と頷く。


「他の女には、絶対に手を出すなよ」


大輔はそういうと、楽しそうに笑い出す。


「大輔、お前何言ってるんだよ。
言っておくけどさ、俺の方がお前よりよっぽど純情だろ」

「は?」


大輔と司は、テーブルを挟んで、あれこれ過去のことを語りだす。


「いやいや、あれは……」

「ほら見ろ。大学時代だって、
お前がそっぽを向くって、何人の女に文句を言われたことか。なぁ、祥太郎」


大輔は、思い出話を語り、祥太郎に意見を求めていく。


「あぁ、あったね。司を目的にした他校のサークルだとかなんだとかさ。
俺なんて、手紙を渡して欲しいって、何度も呼び出されたよ」

「そうそう」

「適当なことを言うなよ」


司はそういうと、あらためてビールをあけ、大輔と祥太郎の分をコップに注いだ。





時計が夜の9時を回る頃、陽菜は、家まであと少しという場所にいた。

瞬が好んでかけていたCDが終わり、また最初の曲に戻る。


「陽菜、明日、休みだろ」

「うん」

「それならよかった。結構日差しも強くなってきたし、
一日連れまわしたから疲れただろ」


瞬はそういうと、自分も肩を軽く回す。

陽菜は、瞬の仕草に、運転をし続けた疲れに気付く。


「私に免許があれば、運転変わったのに。ごめんなさい」


陽菜は、そういうと軽く頭を下げた。


「そんなこと気にするなって。俺、本当に久しぶりで楽しかったんだ」


瞬は、そういうと次の角を右に曲がるのかと、そう陽菜に尋ねた。

陽菜は曲がり角の向こうは道が狭くなるので、そこまででいいと降りる準備をする。


「陽菜……」

「何?」

「時間がかかるかもしれないけれど、必ず……」


瞬の言葉に、陽菜は何も言えなくなった。

妻との時間もそれなりにあり、一度は永遠を誓ったのだから、

それを解消するというのは、そう簡単なことではないだろう。

陽菜は、瞬の言葉から数秒遅れたタイミングで、『はい』と返事をした。

車は曲がり角の近くでスピードを落とし、ハザードをつける。

後ろを走っていた車が二人を追い抜き、明るかった車内が少し暗くなる。


「今日はありがとう……また……」


陽菜がそう言ったとき、瞬の手が背中に回る。

見つめあい、導かれるように互いの唇が触れ、

一度離れた思いは、『別れ』を惜しむ思いに負け、また深く重なり合う。

車に乗ったとき、見つけた小さなビーズの飾りへの不安も、

陽菜は、全て瞬のぬくもりに、心の底へ押し込もうと決めていく。

気持ちは戻せない場所を求めていることがわかり、数秒後、陽菜の吐息が車内に落ちた。


「こんなことをしていると、君を愛していた日が、鮮明に戻ってくる……」


瞬はそういうと、身勝手だなと苦笑する。


「不謹慎だとわかっているのに……心のどこかでずっと、
こんな日が来たらいいと、思っていたの」


陽菜は、そういうと瞬に『おやすみなさい』と挨拶をして、扉を開ける。

そのまま角を曲がろうとした陽菜に、瞬の声が届く。


「陽菜……」


瞬は運転席から出ると、立ち去ろうとする陽菜を止める。


「気持ちは決まったと思って、いいんだな」


瞬の『覚悟』を確認するような言葉に、陽菜は鼓動を速めながらも、ただ頷き返す。

再会から、こうしてたどりついた思いの先に、何があるのか、

陽菜も『覚悟』があると、バッグを持つ手を、あらためて握りなおす。


「おやすみ……」


優しい笑みを浮かべた瞬の言葉に、陽菜はあらためて『おやすみなさい』と挨拶した。





週が明け、『リファーレ』のクーデターが正式に表舞台に現れた。

創業者一族の身勝手な振る舞いに、そっぽを向いた社員たちによって、

実質的な経営は、『株式会社』という組織に引き寄せられる。

父親の腕に甘えた息子が、贅沢三昧をしていたお金も、

実は、『リファーレ』の中から捻出してきたという内部事情も明らかになってしまい、

数ヶ月前まで社長と崇められていた男は、

都内のホテルを、マスコミ陣から逃げ回る日々を送ることになった。

有紗たちが出社すると、本社前にはテレビ局のリポーターなどが立ち、

この動きに気付いていたのかと、マイクを向けてくる。

『何もわかりません』という言葉を繰り返し、有紗はなんとか社内へ入った。



【13-5】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
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あなたの色と私の色。6人の恋模様が生み出す『COLOR』は……
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