14 こぼれ落ちる苛立ちの涙 【14-6】

【14-6】
『リファーレ』のクーデターから2週間が経ち、世の中の注目は、

そこから派生した話へと動き出した。

というのも、灰田の実力を知った大物政治家が、

近頃停滞している党の隠し玉として、

灰田自身に政治の世界へ飛び込む気持ちはないかと、そう話をし始めたからだった。

そういった動きに敏感な経済誌では、

以前、企業を影から動かす人たちの話を使ったドラマが、視聴率を取ったこともあり、

『灰田啓次』という男の動きに、以前とは比べ物にならないくらいの、

注目をするようになる。

そして、宮石が大輔たちを使い、撮り溜めた写真達は、

話題に飢えていた経済誌の持ち上げもあり、『フォトラリー』で華々しく特集され、

初めて記事となった。



『企業を操る男の魅力』



大輔は、その連絡を宮石から受け、コンビニに並ぶ雑誌を取る。

これで、灰田という男の『別の顔』を知ることになる、有紗が気になった。





同じ頃、司も昼食を取った店で、この『フォトラリー』を手に取った。

有紗の上司が、広報部長の灰田だと言うことも知っていたため、記事の内容を確認する。


「祥太郎、何しているのよ」

「うん、ちょっと待って」


同じ頃、祥太郎も雑誌を手に取り、灰田という男の記事を読んでいた。

有紗はどういう状態になっているのか、気になってしまい、

思わず真帆にメールを入れる。



『山吹さんは大丈夫なの?』



真帆は、そのメールを受け取り、メールの送信欄を見る。

祥太郎よりも少し早く、『原田運送』でその記事を読んだ真帆は、

何度も有紗にメールをした。



『有紗、元気? ねぇ、一緒にごはん食べよう』



有紗は真帆からのメールを受け取り、小さくため息をついた。

会社が思いがけない騒動になり、安定だと思っていた自分の地位も、

どこかフラフラした状態に変わる。

さらに灰田のまわりに、自分が知らない人物もうろつき始め、

有紗にとってみると、真帆や陽菜とニコニコ笑って食事をしている気分ではなかった。

以前もメールを寄こした同級生からも、またさらなるメールが届く。

今まで年間に数えるほどしか連絡を寄こさなかった人が、

この出来事から急に忙しくし始めたことが、有紗をからかっているように思え、

苛立ちを募らせた。

『ご心配なく』というどこか挑戦的なメールをつくり、送信ボタンを押す。

大手企業のクーデター事件は、そこで働く色々な人たちにも、

チクチクと精神的にダメージを与え始めた。

有紗は、真帆からのメールをもう一度見る。

『もう少し落ち着いたら……』と返信するつもりが、

その日の午後、1通のメールが入り、気持ちが変化した。



『有紗、忙しそうだね。体は大丈夫?』



真帆と同じように、自分を心配してくれる陽菜からのメールだったが、

有紗は『ミラージュ』で瞬と話したことを思い出し、急に考えを変える。

二人が心配してくれて嬉しいと、それぞれにメールをした後、

真帆の部屋に週末、集まらないかと提案する。

それまでそっけなかった有紗からの前向きなメールが来たことに喜んだ真帆は、

陽菜にもすぐ連絡を取り、週末、自分の部屋で語りましょうと、そうメールを送った。





「いやぁ、『フォトラリー』の特集には驚いたね、灰田って男はすごいな」

「あぁ……」


女3人がそれぞれの思いを抱え、連絡を取り合っていた頃、

大輔は司を『華楽』に呼び出していた。

文乃に、司の気持ちを語ったことを話すつもりだったが、タイムリーということもあり、

最初の話題は、有紗のことになる。


「お前、あまり驚かなかったの?」

「俺は知っていたからさ」


大輔の言葉に、司と祥太郎の会話が止まる。


「灰田がこれから注目されて、こうなるってことはわかっていた。
まぁ、すごいことはすごいと思ったけどね」


大輔はビールに口をつけると、春巻きを食べる。


「もしかしたら、お前が撮ったのか、これ」

「全部じゃないけどね。その特集記事のメイン」

「は? そうなの?」


祥太郎も驚きを隠せない様子で、また『フォトラリー』をめくる。


「これか? それとも?」

「どれだっていいんだ。ただ、山吹さんにとっては、
灰田の知らないところも多かっただろうから、今頃、大変かなと」


司と祥太郎に、有紗のプライベートを話すわけにはいかず、

大輔はどこかごまかしたような言葉で、語っていく。


「マーケティングの会社にいた男だろ。それが大手の広報部長になるわけだから、
確かに、色々とあるやつじゃないと、無理だろうけど」


祥太郎は、暗めの写真で顔はハッキリ見えないけれどと言いながらも、

もてそうだなと、つぶやいていく。


「らしいけどね」


大輔は、司の肩をポンと叩き、奥に行こうと声をかけた。



【15-1】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
みなさんのコメント、拍手、ポチなど、お待ちしてます。

Pagination

Trackback

Trackback URL

http://momonta1108.blog75.fc2.com/tb.php/3206-ec128909

Comment

Post Your Comment

コメント登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

momonta

Author:momonta
ただいま、怪獣2匹を飼育中の、お気楽主婦です。
日々のちょっとしたこと、趣味で取り組んでいる『創作』を、このブログに書いていきたいと思っています。
飲み物片手に、立ち寄ってくださいね。

なお、作品の無断転載やお持ち帰りはご遠慮ください。
著作権は放棄していません。お願いします。

ただいま、連載中!

あなたの色と私の色。6人の恋模様が生み出す『COLOR』は……
ただいま発芽室では『Colors』を連載中! こちらからどうぞ

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

お供、提供中!

この人は誰だろう……悩んだ時には、迷わずGO!
発芽培養所では『Colors 50音人物紹介』を掲載中! こちらからどうぞ

FC2ブログランキング

小説・文学部門に参加しています。

FC2Blog Ranking

毎日1回、ポチッとしてもらえたら嬉しいです。見えないライバル達と、格闘中!

いらっしゃいませ!

QRコード

QRコード

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
361位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ロマンス
5位
アクセスランキングを見る>>