17 絶対に変わらない思い 【17-1】

17 絶対に変わらない思い
【17-1】
祥太郎と真帆が待ち合わせたのは、駅前にある以前も会った喫茶店だった。

真帆は、祥太郎に時間を報告し、承諾を得たものの、

本来なら店が忙しい時間ではないかと、急に心配になり始める。

もう少し時間を工夫すればよかったのか、

それとも、お店が休みの日にすればよかったのかと、

到着してから真帆の頭を、色々な思いがグルグルとかけめぐった。

店の扉が開き、祥太郎が入ってくると、すぐに真帆を発見してくれた。

真帆も立ち上がり、挨拶をする。


「ごめんなさい、もう少し早く来るつもりだったのに」

「いえ、あの……」


祥太郎は椅子を引きながら、そう言った。

真帆は、お店の営業時間ではないかと、祥太郎に聞く。

祥太郎は『そうですよ』と当たりのように返事をした。


「だとすると、私、この時間だとご迷惑を」

「いえ、迷惑だなんて。うちは夜よりも昼のほうが売り上げ高いですし。
夜はどちらかというと店は酒飲みばかりで、売り上げは出前を主に……」

「それなら出前が止まりませんか?」


真帆は、自分が時間をずらせばよかったと下を向く。


「本当に大丈夫ですよ。出前は元々、バイトを頼んでいますし」

「バイト……」

「はい。大学生ですけどね。夕食つきで来てくれています。
そう、元々、そいつと話をしている中で、思いついたことだったんですよ。
店を改装して、賃貸をつけたマンションにするってこと」


祥太郎は、心配そうな真帆に、『大丈夫』を何度か繰り返す。

真帆は、それならと緊張していた肩からふっと力が抜けた。


「黄原さんって、本当におもしろいですね」


祥太郎は、真帆はいつも人の心配をしていると、楽しそうに笑い出す。

二人の前にウエイトレスが立ち、それぞれが注文を済ませていく。


「私、間が悪いんです、いつも」

「間?」

「はい。こうだろうと思って行動すると、それとは反対側に話しが動いていたり、
みんながこうするといいかもと思って、取り組んでみるのですが、
結局やり切れずに迷惑かけたり……」


真帆は、そもそも黒木さんを人違いしていましたからと、照れ笑いする。


「いや、でも、それがこういう縁を作ってますから。
あの日、黄原さんが勇気を出して、うちの店に来てくれなかったら、
6人で会うこともなかったでしょうし」


祥太郎は、間が悪いと言った真帆に、そんなことはないですよと言い返す。

真帆は、祥太郎が等身大の自分を認めてくれている気がして、嬉しくなった。


「あ、そうです、今日ここに来てもらったのは、現状報告と思いまして」

「はい」


祥太郎は、真帆に指摘されてから、あえて改築のことには触れず、

父親と、料理の面で向かい合うようにしてきたと、そう話した。

今までは、口を開けば嫌みを言っていた明彦が、何も言わないのは進歩だと思いつつ、

こうなると、どこからどうきっかけを作ったらいいのかわからなくなったと話す。


「商店街の他の店の動きがあっても、それについて触れることもないし、
俺に何か言うわけでもないし……」


祥太郎は、一緒にお酒を飲んだり、食事をしたりすることは増えたが、

それだけで終わってしまうのはと、不満を口にする。


「いいですね、ご家族仲がよくて」

「……ん?」

「私は、もう何年も、家族揃って食事をしたことなんてなくて」


真帆は、公務員の父が帰ってくるのを待たずに、

母はいつも子供たちと食事をしていたと、思い出を語った。

寡黙な父は、ラップのかかった食事を、自分で温めることも多く、

真帆は、よく缶ビールを持ち、晩酌に付き合ったと話す。


「一つの目標に向かって、家族で努力できる黒木さんは、幸せですよ。
今はまだ、お父さんと向かい合えていないけれど、でも、きっとわかってくれます。
もう少し焦らずに待ってあげてください。具体的な話には進めなくても、
いざとエンジンがかかったときには、すぐに行動できるよう、私もお手伝いしますから」


真帆は、そういった後、ご迷惑ならやめますがと、自信なさそうにつぶやいた。

祥太郎は、力強いですと、笑顔で返す。

二人のテーブルにそれぞれの品が運ばれた。





瞬から、突然『会って欲しい』と陽菜に連絡があったのは、夜のことだった。

陽菜はメールを受け取り、仕事の後でならと返信する。

瞬から、妻の体調がおもわしくないから少し時間がかかると言われ、

頭では納得したつもりだったが、

少しの時間でもいいから会って話したいとメールを入れた。

瞬もそれを理解してくれたのだろうと思いつつも、

急展開に会いたいというメールに代わったことに、期待が半分、

そして、不安が半分という状態になる。

『盆踊り』の準備はほとんど整ったものの、

親たちが手伝いをするお店などの準備は、前日しか出来ないため、

その日をのぞくと、会えるのは明日だけだった。

陽菜は『30分で構わない』という瞬のメール内容に、何が起きたのだろうかと、

不安に思う気持ちを、仕事に打ち込みながら紛らわせた。



【17-2】

それぞれの恋の色を塗っていくと、そこに見える『Color』は……
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