FC2ブログ

19 衝撃 【アースクエイク】 ③

19-③


もし、園田さんが啓太を見放してしまったら……



あいつは一人……



『ブルーストーン』で見せていたような、『前向きにはなれない人生』を、

送っていくのだろうか。




『二度と来るな』




香澄ちゃんを使い、私を突き離した啓太。

懐かしい思い出にはなるつもりなどなく、『思い出したくもない日々』まで、

自分という存在を追い込もうとしていた。



全ては……

啓太の作戦通りなのか。



全てはこの人が知っている。



私は、号泣の眉村先生から、大きな花束をもらっている園田さんを見ながら、

ただ、啓太のことを考えた。





『そのことについて……』


編集者だからの職業的なこだわりだろうか。

園田さんのこの言い方が、妙に気になった。

私と彼女の最初のつながりは、もちろん眉村先生を通じての仕事だけれど、

この数ヶ月というもの、ライバルのような、とにかく啓太を挟んだものに変わっていた。

啓太を好きだと宣言し、園田さんは、これから思いのままに生きると言っていた。

啓太の住所を知り、啓太の部屋に入っていると、思えるところもあった。

私が思い出した過去のことも、病気のことも、

園田さんは、具体的に示さなかったが、驚きもなく受け入れていた。

それは、知っているということだと、私は判断して……



啓太とのことは、全て終わったと、

そう思っていたのに。



6月の20日で、仕事を終えると言っていた園田さん。

いつ、連絡が来るのだろう。



私は仕事をしながら、ついカレンダーを見てしまう。

気にしていても何も解決しないと気持ちを変え、一度立ち上がると背伸びをする。

編集部から見える、外の景色。

あの街路樹の向こうに曲がり角があり、そこを進むと啓太のマンション。



また、啓太のこと……



私は窓から離れ、廊下を歩く。

会社の外にあるコンビニに、コーヒーでも買いに行こうと思い、

そのまま外に出た。





悠の出張があり、ご両親の訪問が続いたため、

部屋を訪れるのは3週間ぶりになる。二人で仕事の帰りに待ち合わせ、

材料を買うと、悠に持ってもらったまま、部屋に向かう。


「この部屋に越してきてから、うちの両親、初めて入ったからかもしれないけれど、
まぁ、暇なんだろうな、あれこれうるさくて」

「初めていらしたの」

「そうなんだ。あの部屋には、未央と出会うひと月くらい前に、引っ越したから」


海外勤務の多かった悠は、大学卒業後、しばらくは会社の独身寮に入っていたと、

教えてくれる。


「独身寮、へぇ……今もそういう施設を持つ企業があるのね」


福利厚生が優れているのは、大手でなければ無理だけれど、

それでも、社員寮などは最初に撤廃される分野となっている。

さすが、『花菱物産』。


「まぁね。寮母さんがいたから、食事は用意してもらえるし、楽は楽だったけれど、
決められている時間が窮屈に感じるようになって、最初に引っ越しをした」


最初に悠が引っ越したのは、駅近くのワンルーム。


「自由になったからなのかな、欲しいものが増えてさ。
気付くと狭くなっていて、それで今の部屋に」

「ふーん」


確かに、オーディオや、趣味だと言っていた釣り道具など、悠の家には、

生活必需品以外にも、色々なものがある。

殺風景にも思えた啓太の部屋とは、色合いも、違っていて……



また……



「未央……」

「何?」

「秋くらいに、二人で愛知にくればいいって、両親が」



秋……

今は6月。梅雨が来て、真夏が去っていくと、季節は秋だ。

つきあっている人がいると、息子が写真を見せれば、それは当然、

本人をみたいと思うだろう。

逃げようとは思わない。私は私。


「そうだね……」


今はまだ、緊張する思いの方が前に来るけれど、秋になればきっと、

私もそう思えるはず。



父や母に、悠を紹介する。



二人でエレベーターに乗り、いつものように部屋へ入る。

ヒールを脱ぎ、とりあえず対面キッチンの端にバッグを置く。


「あれ?」

「だろ……模様替えされたんだ」

「模様替え?」


悠は、自分が会社に出かけている間に、

両親がソファーの位置やテーブルの位置を変えたと、そう話してくれた。


「テレビも変わったの?」

「うん。何をしているのかと思ったけれど、
昔から母は『方位学』とか『風水』に凝っていて。で、方角とか、色とか、
結構気にするんだ」


悠のソファーの上には、前にはなかったカバーがついている。

これも、色を考えたお母さんが、買い物をしてつけたという。

見慣れた雰囲気ではなくなったので、ちょっとだけ落ち着かないけれど、

悠のご両親が彼のためにしたこと。まぁ、慣れてしまうだろう。


「さて、お腹すいちゃうから、つくろう」

「うん」


私は、お鍋に火をかけ、その間に使ったものを洗っていく。

対面式のキッチン、いいところは、悠が何をしているのか見えるところ。

悠は、英語と数字が一覧表になっている紙をテーブルに広げ、何やら書いていた。



19-④




コメント、拍手、ランクポチなど、みなさんの参加をお待ちしてます。 (。-_-)ノ☆・゚::゚ヨロシク♪

テーマ : 恋愛小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

momonta

Author:momonta
育てた怪獣2匹は、すっかりかわいさを無くしたため、今や『犬愛』に目覚めたお気楽主婦です。日々のちょっとしたこと、趣味で取り組んでいる『創作』を、このブログに書いていきたいと思っています。
飲み物片手に、立ち寄ってくださいね。

なお、作品の無断転載やお持ち帰りはご遠慮ください。著作権は放棄していません。お願いします。

発芽室、ただいま連載中!
あなただから、全てを知りたい……
カレンダー
10 | 2018/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
カテゴリ
リンク
FC2ブログランキング
小説・文学部門に参加しています。

FC2Blog Ranking

最新コメント
最新記事
いらっしゃいませ!
RSSリンクの表示
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
270位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ロマンス
4位
アクセスランキングを見る>>
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
最新トラックバック